コグニマガジン

季刊cognivision連載中の人気コラム「コグニビジョン・チェックアップレポート」を掲載中!

“売る”のではなくお客様の“問題解決”

"カウンセリング営業"で リピートとクチコミを増やそう

セールスが苦手な人でも、お客様に商品・サービスを納得感を持って購入いただける、まるで魔法のような営業の方法が「カウンセリング営業」です。お客様は満足感が高いため、次もそのボデーショップを利用したいとリピート客になり、友人・知人にクチコミもして、新たな集客にもつながります。今回は、カウンセリング営業のコンサルティングなどを提供する小林未千さんに、そのやり方を伝授していただきます。右ページのシート例と照らし合わせながらお読みください。

カウンセリング営業で リピートとクチコミを増やそう

丁寧に聞き、プロの目で提案する

営業でいざ「売ろう」と思っても、なかなかうまく行かないものです。
では、営業を"売る"のではなく、お客様の"問題を解決するための支援"と考えるとどうでしょう。
つまり、お客様のマイカーに関する問題・課題を丁寧に聞き出し、それに対して最適な商品やサービスを「プロ」の目で提案するのが営業と捉え直すのです。
こう考えれば、ボデーショップとお客様が「売る」「売られる」の関係から、「問題解決する」という同じ方向を目指す関係になり、提案が受け入れられる可能性が高まるわけです。
このようにお客様から丁寧にヒアリングし、最適な商品やサービスを提案する方法が「カウンセリング営業」です。
今回はこれをボデーショップで導入する手法を紹介します。

必要なのはカウンセリングシートの作成

最初に着手するのが、お客様にヒアリングする際に使う「カウンセリングシート」の作成です。
このシートに沿ってヒアリングすれば、セールスが苦手な人でも最終的なクロージング(契約)まで行ける可能性が高くなります。

カウンセリングシートは、①心を開くアプローチ②問題意識を引き出す③利益と可能性のイメージ④クロージングの4 つのパートに分かれています。
まず、「①心を開くアプローチ」のパートでは、お客様との会話を弾ませながら、「この人なら自分のことを話してもいい」と思っていただくことがテーマとなります。
最初は担当者から自己紹介し、自分の人となりを伝えます。
そして、重要なのが、お客様に記入いただく「基本情報」を会話のきっかけとすることです。
例えば、職業で「自営業」にチェックしていたら、「何をなさっているのですか?」と聞いたり、趣味が「映画」なら「最近見た映画で良かったものは何ですか?」と聞くなどして、心の垣根を取り除いていくのです。

カウンセリング営業で リピートとクチコミを増やそう

マイカーの問題点を"見える化"する

ある程度打ち解けることができたら、次のステップ「②問題意識を引き出す」のパートに進みます。
ここからは、ヒアリングする担当者が質問しながら聞き書きしていきます。
例えば、修理や整備で入庫するマイカーについて、「気になる箇所(こと)」という項目を設け、ボディの小さな傷(修理箇所以外)、エンジンの異音、乗り心地...など想定される問題をできる限り列挙しておき、お客様に聞いてチェックを入れていきます。
さらに、気になる箇所に対し、お客様が現在行っていること、過去に行ったことも聞き、その結果も記入していきます。
一例を挙げれば、(気になる箇所)小さな傷→(過去に行ったこと)市販の部材で自分なりに直してみた→(結果どうなっているか)うまくいかず、以前より見た目が悪くなった...といった具合です。
他の気になる箇所も、丁寧に聞いていきます。
こうすることで、店側がお客様の問題や不満を細かく把握できると共に、お客様自身にも改めてマイカーの問題点に気付いていただけるわけです。

「聞いてみたい」と思わせることが重要

その後すぐに主力商品の提案と行きたいところですが、まだ機は熟していません。
なぜなら、お客様が提案を「聞きたい」という気持ちになっていないからです。
そのため、前段として、問題が解消された時に自身が得られるメリットをイメージしていただく、「③利益と可能性のイメージ」のステップを挟むことが必要です。
ただし、トークが説明調になると、「売り込みに来た」と警戒されます。
有効な手法はすべてを質問形式に変えることです。
例えば、「傷の修理の仕方によって、車の寿命が延びたり、強度が高まることをご存じですか(YES / NO)」という選択式の質問にして、「何それ、聞いてみたい」とお客様に"聞く耳"を持っていただくのです。

お客様の警戒を解く魔法の言葉「もし」

これらの3 つのプロセスを経て、ようやく提案し、④クロージング(契約)へと向かうステップとなります。
ここで重要なのは、具体的な提案の際に、「もし~」と仮定形にすることです。
例えば、傷の直し方で金額の異なる3 つのプランがある場合、「どれにしますか?」と尋ねてしまうと、お客様は「まだ契約すると決めてないのに」と、心を閉じてしまうこともあるでしょう。
代わりに「もし、傷を直すとしたらどのプランがいいですか?」と聞くことによって、「仮定の話なら」と精神的な負担が和らぎ、選びやすくなります。そこで一度選択していただければ、あと はスムーズに契約まで行きつく確率が高まるわけです。
こうしてカウンセリング営業によって、お客様は売りつけられたのではなく、「問題を解決してもらえた」という意識が強まり、「また次も利用したい」とリピート客になる可能性が高いでしょう。
「あのボデーショップは問題を解決してくれる」とクチコミも期待できます。
「マイカーカウンセリングサービス」と銘打って、当初は希望するお客様のみに行い、評判が得られたら全てのお客様を対象に行う看板サービスとして格上げしても良いでしょう。

本レポートは、カウンセリング営業のコンサルティングや講演、研修を全国の中小企業に提供する、経営コンサルタントの小林未千さんに話を聞き、まとめたものです。
導入や相談を希望の方は「小林未千公式サイト」で検索。

『1枚のアンケート用紙で「新規顧客」が「100回顧客」に変わる!』(かんき出版/税込み1650円)

バックナンバー